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悲劇のピアニスト
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作詞 蒼龍 |
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私には 楽譜(ひび)が見えない
きっと そう 隣の彼女が消したのだ
彼女は 何でも持て余し
「これが才能よ」と高笑い
そうか それならば時代のシンフォニー
悲劇のヒーローを オーケストラで奏でてもらおう
壮大な序曲 恋のセレナーデ
夕べに浮かぶは 彼の恋物語
「凄いでしょ?」と自慢げな彼女
まだ 私には音すら聞こない
痛みの協奏曲 言葉のプレリュード
傷口に滲むは 真紅の造花
「羨ましいでしょ?」と誇らしげな彼女
どうしてだ 私には何も聞こえない
風夜の変奏曲 眠りのノクターン
目を瞑った彼は 何を想うのか
「複雑なメロディーだ…」と見据えた私は
孤独の街に たたずんでいた
月姫の舞曲 裏切りのメヌエット
自由と描いた 謎だらけのスケルツォ
「次で最後ね…」と呟く彼女
なぜか その瞳には涙が浮かんでた
暗闇の奏鳴曲 鳴り止まぬソナタ
指先を見た彼は 錆びた爪を抱きしめた
「これが彼の最期…」と憂鬱げな彼女
とうとう 私には何も聞こえなかった
私には 楽譜(ひび)が見えない
きっと そう ピアノの彼女が消したのだ
彼女は 今日も墓地へ出かける
「あなたの曲よ…」と伝う涙
そうか これは私の交響曲(じんせい)だと
空から見つめた 悲劇のピアニスト
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