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薔薇ホテル603号室
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作詞 春原 イオ |
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“未来を掴む”競争のため
慣れない電車でこの街まで来た
一週間分の荷物転がして
新宿駅を知った顔して迷い
安くもなく高くもない12階建てホテルの
6階3号室に辿り着き ようやく一つ息を吐く
超高層を仰いで
道行く人を見下ろして
僕がこうして居ることも
あの烏しか知らないな
「帰りたい」って言葉は
一人きりのこの部屋に
空っぽに響き過ぎるから
目を瞑ってぎゅっと呑みこんだ
人波の乗りかたを覚えて
人並になりかたを覚えて
本当になりたかった自分も
この街の部品の一つなのかな
「帰れない」って想いを
鈍色のあの空に
溶かして ごめんねって言って
その彩度をまた落とさせた
気付いてたんだ
向かいのビル 毎晩 同じ部屋の灯消えないで
デスクに向かう人影があることを
気付いてたんだ
その根元 2月の0時 赤色ランプを振り続ける
あの人がここを支えてるってことを
い ま ご ろ
懐かしいあの町では
気の早い桜が咲いて
色とりどりの笑顔と共に
川縁を染めているだろう
もうひとつだけ戦ったら
心の底から叫ばせて
何でもなかったような顔で
「お帰り」って受け止めて
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