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瞳 -ひかり-
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作詞 心菜 |
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最後に会ってから一年ぶりくらいに
曾祖母に会いに行った
最近どこか体調が優れない様子で
心配になった私は 祖母と共に足を運んだ
「―○○かい?」
部屋の中に入ってきた私を見て
彼女は孫の名を呼んだ
私にとっての 母の名を呼んだ
「何言うとん、違うわ。その娘の心菜やろ?」
弁解するように 祖母が言うと
彼女は「そうやったなぁ」と 穏やかに言った
私がトイレから戻った後 また部屋に入ると
同じように 彼女は私の母の名を呼んだ
生憎 都合が合わなかった母は
今日彼女に会いに来れなかったけれど
他の誰よりも彼女に 会いたがっていた
今思えば 嫌な勘が働いていたのかもしれない
「―○○かい?」
曾祖母は穏やかに でもどこか嬉しそうな瞳を向けていた
私から通して見える母の姿を 彼女にとっての孫の姿を
必死に見据えているようにも見えた
「そうだよ。久しぶり、お婆ちゃん。○○だよ」
私は 母を演じることを決めた
何が私をそうさせるのか 詳しくは分からなかったけれど
彼女に彼女の孫の姿を 私を通して母の姿を
見せてあげたいと思ったからかもしれない
「そう。元気かい?」
「うん。すごく、元気だよ」
「それは、よかったねぇ」
他愛のない話をした 世間話ともとれるような話だった
だけど
彼女の瞳は
最初に会ったときよりもずっと 輝いて見えた
神様
お願いです
どうか 母を
彼女に 会わせてあげてください
せめて それまではどうか
どこへも 連れて行かないでください
どうか
彼女に ひかりを
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