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早紀ちゃんの結婚
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作詞 あーこ |
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私と姉ちゃんは昔からケンカをしたことがなかった
私がいくらちょっかいかけても姉ちゃんは優しかった
いつも明るい声で私の名を呼び
母が出かけてる時は母代わりのように
私の面倒を見てくれた
そんな姉ちゃんが私が大好きだった
友達より、ママよりパパより、ずっと信頼できた
ある日私が学校で先生を殴ってしまった
母は理由も聞かず、私の事を敬遠した
でも姉ちゃんは違った
「どうしてこんな事したの?」と優しく問い掛けてきた
その声に 私は思わず涙がこぼれた
私の全てを分かってくれる姉ちゃんの優しさに
こらえていたものが全部止まらなかった
「ありがとう、ありがとう」私は心の中で叫んだ
あれから数年、毎日のように一緒に過ごしていた姉ちゃんが結婚する事になった お腹には新しい命があると言う
私はそれを聞いた瞬間、2階へかけあがり布団の中で大声を出して泣いた
姉ちゃんが私から離れちゃう
苗字が変わって 私の姉ちゃんじゃなくなっちゃう
新しい子のママになるんだ…同じお墓にも入れないし、同じ家に住む事ももうない
本当は「おめでとう」って言わなきゃ…
「良かったね」って言わなきゃ…
私は、失恋した男のように泣きじゃくった
すると1階から姉ちゃんがやってきた「どうしたの?なんで泣くの?」
私は姉ちゃんに初めて反抗をしてそっぽを向けた
姉ちゃんは静かに話し始めた「ねぇ、人を愛するってどんな意味か知ってる?あ、もう亜子も17だもんね。それくらい知ってるか。なんか亜子も大きくなったよね。中学生の頃は問題ばっか起こして私に泣き寝入りしてきたのにな。でもね私すーっごく嬉しかったんだよ。私の妹は亜子しかいない。だから絶対姉として絶対亜子を守るって決めてたの。でも亜子ももう大人になる、私の支えも要らなくなる。というかもう大丈夫。亜子は立派な人だよ。私の心配も必要ないくらい。でも、亜子は一生私の妹だから。本当に本当に大好きなんだよ。結婚して子供産んで、それでも私の妹。私、亜子みたいな妹、世界中探してもいないと思う。ありがとう。私ね、あの人と結婚するって決めたのは赤ちゃんが出来たからじゃなくて、単純にすごい好きだからなの。あっけないでしょ?でもねあの人となら一生幸せでいられる気がするの。あの人と笑顔いーっぱいの家庭作る、この家みたいな。そして、もうすぐ生まれてくるこの子に妹作ってあげたいな。もちろん亜子みたいなね。ねっ、楽しくなりそうでしょ。…私頑張るから。でも辛くなったら亜子のトコに行っちゃうかも。えへへ。」
泣きながら、姉ちゃんの方に顔を向けると姉ちゃんは微笑んでた その顔を私は初めて見た
こんなに幸せで溢れている姉ちゃんは見た事がなかった「姉」の姉ちゃんじゃなくて1人の「女性」の笑顔だった
幸せなんだ…愛されてるんだ…
少し遠くなった姉ちゃんの存在寂しくないと言えば嘘になるけど
姉ちゃんが大好きだから 幸せであってほしいと今願う
そして…今私にも愛する人がいます
姉ちゃん、幸せってこういう事なんだね?あの時の姉ちゃんの笑顔のように私も今、笑っています
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