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死が教えてくれた
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作詞 ユートピア |
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玄関を開けて 感じた
一瞬の奇妙さ あぁそうだったんだ...
母はいつも出迎えてくれていたんだ
洗面所の俺のタオルは母が死んでから ずっと同じだ
母がいつも変えてくれていたことに気付く
階段の柱のこのキズは?
小学生の頃 父が机を買ってくれて
二階へと運ぶ時にぶつけたものだと気付く
薬箱や裁縫箱は?
キズを作っては 手当てしてくれて
ボタンが取れたと言っては 縫い付けてくれて...
でも どこにあるのか分からない
中学生の頃 父が会社帰りに買ってきた 大福もち
美味しいといったら 一週間続けて買ってきてくれた
父と母の死を知らされた時
父の険しい顔と 母の暗い顔しか思い出せなかった なのに今
こんなにも はっきりと あの人達は 微笑んでいる...
なんてことだ 俺は残されてしまったんだ
われを忘れて怒り狂う僕
こんな広い家に ただ一人残された...
親に何にもしてあげれなかった 自分のもっとましな姿を 見せたかった
それは 完璧な孤独だった
胸がおしつぶされそうで 何かに触れていないと体の感覚がつかめない
だれかに 縋りついて救ってほしかった
「ピンポーン」
チャイムでわれに返ると 玄関にいたのは 友人であった
何も言わずに 僕の前にお弁当を差し出してくれた君
「ありがとう 優しいね」
それは本心から言った言葉だった
僕にもまだ 素直な心があったんだ
いきどころなくぶつけた怒りは 部屋中をちらかしていた
そんな中で 弁当を開ける
あの人は息を切らせて これを届けたのだ
今頃になって いろんな人の 優しさが 見えるなんて...
父と母がしんでから
この日 初めて 僕は 声を出して泣いた
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