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夜会
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作詞 seek |
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懐を弄れば、ジャラジャラと長い鎖を手繰り寄せ。
懐中時計が示す時刻は、午前零時丁度。
眼鏡を通さなければ視えない、此の機能性の低い眼を。
呪いながら今宵も、優しい闇へ眠りに付きます。
さぁ眼鏡を外し、心のドアを開いたら、
貴方を誘いに行きましょう。
―――何時もと少し違うでしょ?
ギャップに弱いことは識ってるの。
―――大胆に、強引に、積極的にされるのは好き?
「・・・たまには好いでしょ?」
貴方の背中を見つけたら、声をかけましょう。
「私と一曲ご一緒してくださいな。」
会場を見渡せば、ギラギラと光る宝石を纏わせて。
円舞曲が奏でる今は、午前零時丁度。
眼鏡で隠れている美貌に、気付くのはどのお方?
期待しながら今宵も、差し伸ばされる手を待っているの。
さぁ化粧で飾り獣の瞳で見つめたら、
貴方は誘ってくれるでしょう?
夢の中で見たのと同じ様に、
エスコートしてくれると期待してるの。
まるでガラス細工を扱うみたいに優しく、
優しく壊さないように。
躊躇いながら手を差し伸べる、貴方の誘いに乗りましょう。
「私と一曲踊ってください。」
キラリ、キラリ。明かりは灯る。
ヒラリ、ヒラリ。私は誘う。
カチリ、コチリ。時計は刻む。
クルリ、クルリ。男女は踊る。
煌びやかなシャンデリアの下、円舞曲の旋律は止まらない。
今宵開かれた夜会で、男女は赤い糸で結ばれる。
さぁ笑顔で繕い瞳を見つめたら、
貴方と私の終劇は直ぐそこ。
夢の中で見たのより酷く、
冷たい言葉で突き放します。
まるで全てが夢だったかの様に、
眠りについて忘れてみせます。
戸惑いもなく瞳を閉じて、開くと懲りずにまた夜会へと。
「私と一曲ご一緒してくださいな。」
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