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“I”
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作詞 kaho |
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とある街 行き交う人々
随分と遅めな目覚めの
猫が1匹 赤い屋根の上
眠そうに髭を弾いている
「なんだろう…」
ぽつり猫は言う
「僕はものをひねくれて見るようになった。」
一陣の風が舞う
「完全に人を信じるのが難しくなってきた。」
近くで少年が笑う
「ここんとこ綺麗に笑えなくなった気がする。」
向こうでサラリーマンが微笑する
昼下がりの陽光が
柔らかく猫を包む
「気づけば人の目というものを気にし始めてた。」
一つ大きなあくびをする
「苦しみの螺旋階段を駆け抜けようとしてた。」
終着駅でママが微笑む
「喜びをも、疑うようになっていた。」
「悲しみの底を、追求するようになった。」
「答えというものを、強く欲していた。」
だけど ちゃんと目の前に在るものを
曲がった眼で見るのは 失礼なんだと
さっき誰かに教わった
気づけば空は紅に染まり
燃ゆる地平に見惚れていた
「なんだろう…」
ぽつり猫は言う
「自分に素直に向き合えたっていうか」
「こんな自分が好きになったんだよね」
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