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ジョンの詩
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作詞 shiho |
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12月12日
君は一人旅立って行きました
朝方の5時頃のこと
家族が起きるそれより前に
君は冷たくなっていたと聞きました
私はと言えば
今年から一人暮らし。
君がこんなにも年をとっていたことも
1週間前からごはんを食べなくなったことも
4日前から水も飲めなかったことも
小屋に入る力もなくお尻だけはみ出していたことも
白内障で目が真っ白になったことも
夏に比べて体がずっと小さくなったことも
知らなかったのは私だけでした。
知らせを聞いたのは25日
クリスマスの日の午後のことで
たまたま家にいたところに
メールは入ってきました
父からでした
何度も何度もメールを読み返して
それで戻ってくるはずはないけれど
ただただ信じられなくて
状況が分かった後に
顔が壊れる位に泣きました
10年前うちにやってきた君の誕生日を
私たちは知らなかった
だから私が決めたんだよ
12月25日にしよう、って
その日はいつも君より私が楽しかった
でも、今はあの頃以上に
忘れられない日になりました
それから2日後
私は家に戻りました
市バスの中で 飛行機の中で
泣くことをこらえながら
空港に私を迎えに来た家族は
君の話に触れることなく
私を車に乗せて家路に着きました
私もそれには触れませんでした
家に帰ったら君があの場所にいると
寝ぼけて小屋から飛び出してくると
信じていたかったから
家について車から降りると
祈りは現実に引き裂かれました
じいちゃんが作った小屋も
散歩に使っていた赤くて古びたリードも
君の黒いお皿も
何一つ残ってはいませんでした
その日の夜は今までで一番
寒くて、怖くて、寂しい夜になりました
31日の夜
兄と二人で話をしました
「お前が聞きたいなら話す」といって
タバコに火を付けました
そこで私は初めて12日のことを知りました
小屋に入る力のない君の体に兄が毛布をかけてあげたこと
旅立っていった朝、君が「毛布、暖かかったよ、ありがとう」と言っていたこと
それをじいちゃんから聞いて泣きそうになったこと
いつもは強いじいちゃんが珍しくばあちゃんに辛い、と漏らしたこと
母が泣き崩れたこと
父が私に話すかどうかずっと悩んでいたこと
家族はずっと君の事を想っていました
それを知って私はまた泣きました
「それ以上泣くな、幸せだったんだから」と
兄は一言私に言いました
年明けて4日
次の日の朝の便で私はまた戻ることになっていました
その日の夜
小屋があった場所に帰ってから初めて近寄りました
すごく勇気がいりました
ありがとう、とだけしか
まだ君には言えませんでした
そして家に入って
買ってきておいた革紐を
君の首輪についていた注射のプレートに結び付けて
首にかけました
君はこれからもずっとこの家の家族だと
今、みんなが思っていることでしょう
離れてもずっと愛されている
君は誰よりも幸せです
君と過ごせた私たち家族は
もっと幸せです
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