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陽だまりの濡れ縁
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作詞 野馬知明 |
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1. あなたは 嘆くでしょうか
兄の形見 捨てたこと
黒い袷の 衿を正して
兄を偲んだ 濡れ縁
黒い喪服に
風がそよいで
絡んでいます
陽溜まりの濡れ縁に
線香の香 しめやかに
黒いおくみに まつわりついて
揺らいでいます
あなたの溜め息 あなたの呟き
襖の影で 忍び聞いては
いけないですか
2. あなたは 愁うでしょうか
兄の部屋を 貰うこと
久留米絣の 膝枕して
兄と語った 濡れ縁
紅い鼻緒に
風がそよいで
絡んでいます
陽溜まりの濡れ縁に
雛罌粟の香ほのやかに
赤い羽織に まつわりついて
揺らいでいます
あなたの微笑み あなたの眼差し
眩しいけれど 見つめていては
いけないですか
3. あなたは 戸惑うでしょうか
長い手紙 書いたこと
友禅染の 裾を乱して
兄に縋った 濡れ縁
白いおもとに
風がそよいで
絡んでいます
陽溜まりの濡れ縁で
手紙を読む 昼下がり
白い袂に 薄日が差して
揺らいでいます
あなたの襟足 あなたの後れ毛
震える指で 慈しんでは
いけいないですか
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