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魔本
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作詞 ほつま |
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ホコリ被った書庫の奥
人知れず置かれた
怪しげな装丁 異国言語
今日も独りでにページをめくる──
いつからか当たり前のように
森の中にある屋敷
青年は村の掟を破り
そっと忍び込む
赤いカーペット
広いエントランス
眼前に大階段
恐る恐る踏み入れる
途端に閉じる扉
空は薄暗く
割れたガラスの隙間から
生温い風が吹く
跳ね上がった鼓動
行くあてもなくて
彷徨い辿り着いたのは
古めかしい扉の前
溢れだす好奇心に負け
扉の取っ手に手を伸ばす
青年の視界に飛び込んだのは
大量の書籍
あまりに高い
本棚見上げ
かきわけて手にした
魔性の魅力を持つ本
途端にざわめく館
動き出す甲冑
右も左もわからぬまま
ひたすら逃げ惑う
革命を証明した
血を吸ったカーペット
ふらつき頽れたのは
真っ白い鎧の前
振り下ろされた斧(アクス)
突き出された槍(ジャベリン)
身に食い込む瞬間に
本が光放つ
途端に閉じる瞳
鎧も消えたけれど
対価交換の呪文(スペル)説き
代償はその光
次々に迫りくる
無機質な足音
心臓の鼓動だけが
妙に耳に響いた
途端に光る魔本
瞬間 倒れ込む
立つことすら敵わない
禁断のその呪文(スペル)
無尽蔵の甲冑
やがて光に包まれ
青年は羊皮紙と化し
ページが刻まれてゆく──
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