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人工大樹
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作詞 古閑 |
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僕らがまだ子どもだった頃
大人の厳しさなど知らなかった頃
雲一つ無く澄んでいた
青空へと伸び始めた人工大樹
ここに居ても どこに居ても
ずっと影だけは重なってた
覆い被さって共に笑い
薄暗く染まった地面の下
遥か昔に 野ざらしにされた
忘れ去られた偶然を
拾い上げた二人分の手が
目にした過去で見上げた光
秘密の紐を解けるのは
瞼を閉じている間だけ
きっとあの月も悲しみに暮れる
僕の寝顔内緒で覗いてる
今日どうにか救われた夢は
明日になってまた砕かれて
眠りに付く寸前の瞳には
昨日と違う灯りしか入らなくて
まだ君と共に暗い夜を
笑い合い過ごしたあの時が
なんでか唯一忘れられなくてさ
あの空見上げるたびに
僕の空想で描かれた今は
未来の僕にとっての過去は
濁り無く澄んでいたこと
星のように輝いてたこと
ベンチに座る僕を見下し
静かに笑みをこぼす人工大樹
夢見た未来の象徴目の前にして
子どもの頃とは違う
言葉に出来ない想い どう伝える
増えるばかりの街の灯りは
勝手に僕の目に飛び込んでくる
迷子になったままの思い出を
今日こそ捕まえようと飛び出した
僕の中で揺れる想いは
君に送る声そのものだよ
どれだけ離れても 逢えなくても
いつか繋がれるならばそれでいい
僕だけが居て 君だけが居て
願えたこと祝う人工大樹
見ている灯りが違っても
君が歩く地面が違っても
遠く離れ見つめていよう
暗闇の中輝く人工大樹を
待つことも無いまま時は経ち
人々を見下ろし立つ人工大樹
その根元でベンチに腰掛けて
寂しげに涙零す一人分の影
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