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opening - 電子の海でこんにちは -
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作詞 あきら |
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「年収もそこそこだし、かわいい彼女もいるよ
マンションも見晴らしいいし、仕事も順調
大丈夫、おれも いい大人してるよ
また電話するから。それじゃあね。」
六畳一間、あなたの声が重たい
―― #を押してください ――
まるで会話している気になって、
受話器置く僕はむなしくなって、
原稿用紙のベッドで寝たきりのボールペン
こんな狭い世界で、宇宙を描いたって、
こんな汚い部屋で、純愛を謳ったって、
ごくたまに、電子の海でさがしもの
すこし眠い、日付の境界線で見つけたものは、
小さな四角のキャンバス
掌の中で、それは脈を打つ
小さい体で大きな、脈を打つ
生きている言葉が
朝礼のように、ライブハウスのように、満員電車のように
密集しているのに、きちんと二本足で立っている
――――。
起き上がれないのを病気のせいにして、
誰かに看護されたり、不恰好な姿を見せるのを恥ずかしがって、
かわいそうな自分を可愛がってた
けれど、もう一度立ちたいと願った
寝たきりのペンが、呼ばれて、重い腰を上げた
一度上げたら、案外すんなり立てた
歩き出そうとして、ペン(僕)は両手を前に突き出す
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