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樫の木と臆病の風
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作詞 愛弓歌 |
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樫の木は斜陽を詩にして
僕らに木漏れ日を降らせた
そのメロディーの中で君といれば
日溜りよりよっぽど暖かかった
君の手は夕焼けを包み取り
仄かな温もりを灯して
その手のひらを僕の頬に寄せて
「寒がりさん、大丈夫?」と微笑んだ
微風がフェードアウトして
夕凪は不意に訪れる
ささめく葉を黙らせて
木はそっと恋を急かす
キスでもすればいいのだろう
僕だってわかっている
でもその儚い魔法が
ちょっとだけ怖いんだ
樫の木と夕映えの唄の中
波打つ木漏れ日に包まれ
君の薫りの中で目を瞑れば
永遠さえ嘘でも信じたくなる
微風が僕の頬を撫で
そっと閉じた目を開くと
君は顔を近づけて
「好きだよ」と笑顔で言う
「大嫌いだ」
僕は嘘をついた
君は下を向いて
ごめんねといった
樫の木が溢す日は柔らかく
斜陽は哀しげで優しい
そのメロディーの中で君を見つめ
大好きだと笑顔で伝えられたら
素直になればいいのだろう
僕だってわかっている
でもその儚い魔法が
ちょっとだけ怖いんだ
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