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鳴らない時計台
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作詞 林檎飴 |
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「時が止まったまま
この街は時間がないんだよ」
君は言ったね
その表情は今にも泣き出しそうな そんな
「じゃあ君は何故存在するの?
時がないなら君の心臓だって
動かないはずだよ」
「僕がこの街の時だから」
それはなるほど
理論上あってるかもしれないけど
君は泣き出しそうに
時のないこの街を見守る
君は時
それもなるほど?
あの子供のアイスが落ちそうなまま
噴水の水が今か今かと飛び出しそうなまま
待ち合わせをしたカップルが手を繋いだまま
この街は時を失った
続けて君は言う
「色もね時なんだよ
時を重ねるごとに
色が褪せていくのがいいたとえだ」
そういえばそうだ
さっきまで真っ白だったワンピースも
葉っぱが宙で浮いて止まったままの樹の緑色も
子供が抱えた5つの青い林檎も
時の無と同時に失せていく
残った色は水色が眩しい空だけ
「世界共通だからね
空はこの街だけのものじゃない」
そう言って君は苦笑いを浮かべる
「僕が自由に飛んでいたからね
怒ったんだよ
人々は僕を街の隅に追放して2度と
人々の前に現れないようにした
だからこの街もこんなざま」
言ってることは憎しみなのに
どうしてそうも悲しそうなの?
最後に聞いていい?
「僕は誰?」
君は少し笑って消えた
永遠に
まだ僅かに色のある
空に
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