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そんなお話
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作詞 上龍 |
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僕は走って追っかけた
路地裏歩く小さな仔猫
揺れる尻尾がおいでおいでと
僕を呼んでいる気がした
見覚えのある懐かしい猫だ
君が必死に追いかけてくるから
得意げに狭いトコすり抜けて
遅いなぁ、と君を笑って
君が来るのを待っていた
見覚えのある懐かしい顔だ
僕は仔猫に追いついた
やっとの思いで追いついて
その体を抱き上げた
小さな鈴がリリンと鳴いた
君はやっと追いついてくれた
はぁはぁ息を切らしながら
ふわりと体が浮いたと思えば
額に優しくキスしてくれた
僕は仔猫を傍に下ろして
芝生にごろりと寝転がる
疲れたよ、と一言零す
真っ白な扉が目の前にあるけど
一眠りしてから入ろうかなと
そのまま静かに瞳を閉じる
君は静かに眠ってしまった
必死で起こそうとしたけれど
何をしても返事が無い
こんなところで寝ないでよと
小さな手で揺すってみるけど
そのままずっと眠りについてる
ねぇ ご主人様
ご主人様 ココで眠らないで
ココまで案内したんだから
ちゃんと扉を潜ってよ
はやくしないと消えちゃうよ
自分の世界へ戻ってよ
ねぇ ご主人様
ご主人様 早く起きて
君が消えてしまう前に
ちゃんと扉を潜ってよ
はやくしないと消えちゃうよ
ご主人様 消えないで
消えたら 出るのは 天国だよ
扉の中を 潜れば 戻れるのに
消える主人を目の前に
ボクは涙を零すだけ
そんなお話
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