|
|
|
サクラ
|
作詞 ソ\ウ |
|
愛しい人の命の値を聞かされた
男には到底払えそうに無い値段で
その事実が余計に男を苦しめた
このままじゃ彼女は次の春を
迎えられないことを告げられた
男は涙を堪えて言った
「次の春は誰よりも早く二人でサクラを見よう」
彼女は嬉しそうに微笑んだ
日毎に身体を枯らし色を失う
弱りきった彼女の隣で男は喋る
下らない話を彼女が眠るまで
寒さが増した冬の空を眺めて
時間が迫っていることを感じる二人
彼女は震えて俯いて言った
「次のサクラは見られそうに無いね」
彼女はすぐに無理に微笑んだ
一人暗い夜の下で男は走った
サクラを見せてやりたい一心で
彼女の為だけに咲かせるサクラを
船を乗り継ぎ嵐を越えて
やっと見つけたサクラの花を
両手に抱えて彼女の元を目指す
この身体はもうボロボロだから
約束はどうやら守れそうに無い
寒さが増す冬の空の下
枯れた木に降り注ぐ白い雪
彼女は男の言葉を思い出す
「お前は死なない俺が助けてやるから」
彼女は涙堪えて頷いた
一人凍えそうなサクラの木の上で
男は両手にたくさんのサクラの花
舞い落ちる白い花と一緒に
ゆっくりと青い空へ落とす
窓の外に広がるサクラの舞い
彼女は嬉しそうに微笑を写す
出来れば男と一緒に観たかったと
空いた右手を強く握り締めた
それから何度目かの春を迎え
彼女は穏やかに空を眺める
あの日くれたサクラの奇跡は
彼女に生の時間を分け与えた
「二人でサクラを見よう」って
あの日に愛する人が言った
約束は守れなかったけど
嘘じゃないって信じてるから
今度は自分が彼を待つ番
|
|
|