|
|
|
猫
|
作詞 無名 |
|
一軒の荒れ果てた洋館で
猫が鳴く
戻ってこない
主人を探して
今日も鳴く
主人がもう居ないことは
知っていた
でも
探さずにはいられない
暖かな日差しの中で
うたた寝をしている主人が
居そうな気がして
リビングをのぞく
古い長椅子には
誰も座っていない
夕暮れの中で
コトコトと
猫の好きなおでんを
煮込んでいる主人が
居そうな気がして
キッチンをのぞく
流し台には
蜘蛛の巣
畳の上で
縫い物を
している主人が
居そうな気がして
寝室をのぞく
畳の上には
埃
もう居ない主人を探して
猫は鳴く
鳴いたら
どこからか
主人が現れる気がするから
柔らかな日差しの中で
主人の膝の上に乗り
眠ることを夢見て
今日も鳴く
|
|
|