|
|
|
黒い傘と黒い犬
|
作詞 煌太 |
|
雨が降り続ける道の上 右手に傘を左手に赤い紐を
三歩前には黒い犬 僕の大事な黒い犬
傘がなければ歩けない 犬がいないとどこにも行けない
「しっかりしろよ」 声が聞こえる
僕はいつも返事をしない
怖いから傘は畳まない すれ違っていく人の顔は
一度だって見ないまま
近づく足音 遠のく雨音 見えてきた光さえも
黒い傘で拒絶する 立ち止まったら歩けない
「おい、見ろよ」 声が聞こえる
僕はいつも聞こえないふり
怖いから傘は畳まない 僕の視界に入っているのは
大事な黒い犬だけだ
歩けるんだ 充分だろう それでいいだろう
これが精一杯なんだ…
「勇気を出せよ」 声が聞こえる
右手から離れた赤い紐
黒い犬が走っていく 慌てて追いかけた僕の後ろで
水が跳ねる音がした
水溜りに突っ込んだ黒い傘
小雨の向こうに綺麗な虹 赤い紐をしっかり握って
僕は静かに傘を畳んだ
|
|
|