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逃避
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作詞 human |
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逃げ込んだ村
どこぞの田舎だろう
テレビも無いから
バレてないや
この間の殺人事件も
つい先日の強盗事件も
俺がやったんだけどさ
当ても無くさまよう俺を
何も言わず保護した
あの曲がり角の家のババア
字もロクに書けないくらいに よぼよぼで
事故で亡くした息子の話ばっかで
ちょっぴりむかつく
朝起きろだの 収穫しろだの
くそむかつく
しまいに「一緒に山菜取りに行く」だと
俺ぁ 息子じゃねえんだぞ
お望み通り
一緒に行ってやるよ
このナイフのおかげで
帰りは一人になってるだろうけど
誰も居ない山の中
後ろから 今だ、と
刺そうとしたけど
的を外しちまった
あの小石のせいだ
そんで 俺は
崖から転落かよ
まぁ 未練なんてねぇし
もうちょうどいいかな
山のふもとで
ふと目を覚ましたよ
気付くと
ババアが下敷きになってた
まさか 守ったとか言わねぇよな
血吐きながら うなずいてんじゃねえよ
そんで なんで 俺は ババァ背負って
走ってんだよ
足、ブランブランなんだけど
右手 変に曲がってるけど
なんか
助けたいとか思っちゃったんだよ
死ぬなよ、おい
死ぬなって
病院 連れて行くからさ
返事してくれよ
頼むよ
それから ババァは助かったと聞いていたが
昨日 留置所の俺宛に手紙が来たよ
死んだって。
初めて 泣いたよ
そりゃぁそうだろ
俺以外 誰も読めないクセ字で
ありがとう、だってさ
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