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鉄巨人と盲目で変な帽子をかぶる少年のお話
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作詞 チキン・ボーイ |
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大きな手で
その少女のほおを流れる涙をふき取ろうとした
それだけなのに
なのにかすれた瞳で必死にわめいて駆け出す少女
ボクはいったい何なんだ ボクがなにをした
神よ いるならボクに存在の意味を教えてください
ただ一緒に居たいだけなのに
ニンゲン達はボクに銃を向ける
いっそのこと殺してくれ
ボクは何なんだよ
無情にもボクの身体は鉛球をはじき返す
涙はでない 言葉も喋れない 温もりも無い
この大きな手で何が出来る
このボクに何が出来る
ニンゲンって何だ?ボクって何だ?
けどそんなボクにも大切なものができた
彼が 今日からオレとお前はの兄弟だ!
そう言ってくれた盲目で変な帽子をかぶるボクの兄弟
オイ!兄弟よ悲しい時は笑ってみろよ!何もかもわすれられるんだぜ!凄いだろ! と笑う兄弟
ボクは心で兄弟と一緒に大笑いした
彼は眼が見えない なのに光を感じる
ボクは 笑う 泣く 怒る 悲しむことを教わった
ボクは知った
胸の辺りにあるはずの無い音を
手に無いはずの温もりが
ボクは知った
初めから無かったのではなく
無くなっていただけなんだと
ボクと兄弟が出会って一月がたった頃
ニンゲン達が ふたつ山を越えたとこに化け物が小さな男の子をさらって住んでるらしい
と言って銃を持ってきた
ボクは兄弟を守るために戦った
兄弟は叫んだ 止めるんだ兄弟!殺してはダメだ!
ボクは動きを止めた
一瞬の静寂はすぐに一つの銃音によって破られた
兄弟は撃たれた
真っ白な雪の上に赤が混ざる
初めて恐怖を感じた
ボクの心の中に新たな心が芽生えた 真っ黒な心
憎しみ 悪意 殺気 怨念 怒気
ただ大切なものを守りたかったそれなのに
何故兄弟が殺される!?俺ら兄弟が何をした!?オレは奴らが憎い!
オレは姿を変え泣き再び動いた
いつしかボクの大きな手は大切な誰かを守る為にあるのではなく人殺しの手になっていたことを知った
そして兄弟の下に駆け寄った
兄弟は 悲しい時は大笑いしろって教えただろ
と言って ボクの涙かも知れないオイルが眼から流れれるほおをさすった
温かった けどすぐに冷たくなった
ニンゲン達は大きな鉄の塊を持ってきた
上等だ!オレはここを 兄弟を守る!
そしてその年の春がやってきた頃その山には
何も無かった
あるのは新たに芽生える新芽だけ
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