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先輩。もうすぐ、夏ですね。
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作詞 美友愛 |
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先輩、もうすぐ、夏ですね。
覚えてますか?去年の今頃。
あなたは1人、呟きました。
誰も居ない体育館で。
正確には、あたしとあなたしかいない、体育館で。
あなたは気付いていませんでした。
あたしがいたこと。
あたし、背低いから、朝礼台の後ろに隠れちゃってて。
それで、カギ閉めに来た先輩が・・・
窓の外見ながらこう言った。
「もうすぐ、夏じゃん。」って・・・。
え?って思って、ふってそっち見たら
先輩がいるんだもん。
そのときのあたしは、先輩のこと好きじゃなくて。
名前も、何部かも知らなくて。
ただ、カッコイイ人だなって思っただけでした。
すぐに先輩は出て行って、あたしは閉じ込められたんだ。でも…
あたしがいることに気付いて、先輩はカギ開けてくれた。
「なんで、わかったんですか。」って言ったよね、あたし。
そしたら先輩、足元見ながらぶっきらぼうに
「靴、あったから。こんなちっちゃいの、女子しかいないし。どこにいた?」
「え。あたし、朝礼台の後ろでずっと先輩のこと見てましたよ。」
「・・・。ごめん。」
それでも、あなたは同じ顔をした。
「もうすぐ、夏じゃん。」って言った時と。
そして今も・・・。
あなたは時々同じ顔をする。
「もうすぐ、夏じゃん。」って言いながら・・・。
だから、あたしは言ったんだ。
あなたのすぐ横に並んで立って。
「先輩。もうすぐ、夏ですね。」って。
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