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「時空堂」へようこそ
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作詞 kaji-k |
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駅前の商店街の脇道を
ずっと抜けてくと小高い丘の上
古ぼけた吊るし看板が目印の
小さなアンティークショップ「時空堂」
店主のお爺さんは安楽椅子で
看板娘のネコを抱いている
時が止まったみたいな店先に
おや珍しい お客さんが来たよ
若い女性がカウンターに置いた年季の入った一眼レフカメラ
お金に困った若い女性は父の形見を売りに来たのさ
店主は女性にこう言ったのさ
「思い出はお金に換えてはいけない」
あまりにも重く あまりに的確で
その女性はその場に泣き崩れたのさ
「今ならまだやり直せるさ」
店内はまるで何でも屋みたい
骨董品からブリキのおもちゃまで
ショーウインドウに置かれた洋人形
少女が毎日それを見つめていた
ある日店内に少女がやってきた 洋人形の値段を知りたがった
赤いポシェットの中から取り出した小銭を見せて
「これで足りますか?」
店主は少女に微笑んだのさ
「あの人形は君をずっと待ってたよ」
少女の頭を優しくそっとなでて
ずっと大切にしてくれと言ったのさ
「お代は君の笑顔でいいよ」
季節はずっと移り変わっていく 窓の外の景色も変わっていく
時代も止まらないで過ぎていく だけど変わらないものがここに
雨が降っても雪が積もっても
年中無休で開いているお店
お客がいなくても 幸せな空間
今日もネジまき時計の鐘が鳴り響く
アンティークショップ「時空堂」
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