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届かぬこの気持ち
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作詞 菜央 |
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塾の帰り。
もう8時過ぎ。
真っ暗な塾の前に自販機が2つ。
その、ほのかな光りに包まれて、私の心もあったかい。
彼と友達と私。
私は、何もいえない。
友達がしゃっべっている。
私も、ガンバッテしゃべってみたり、笑ってみたり。
なんか、ドキドキしてて覚えてない。
でも、ちょっと寂しい感じが残ってる。
友達が、彼に
「好きな人いる?」
って聞いたとき、
「いない・・・」
と答えた彼。
なんとなくきずいた。
・・・いるんだなぁ。
私は、胸が張り裂けそうな気持ちになった。
私じゃない。
もっと遠くの、私なんかと比べ物になんないくらいの人。
そんな感じがした。
この場に友達がいて良かったと思った。
だって二人きりだったら、私、何にもしゃべれなくなるから。
この場に友達が居なかったら彼の気持ちも聞けなかった。
・・・早く帰りたい。
もうなんでもいい。帰りたい。
彼の気持ちにきずいてしまった私には、もう何もかもどうでもいいと思ってしまっている。
ほのかな光に包まれている私の心は、もう冷たい。
彼と友達と私。
いつまでココに居るんだろう。
友達は、とっても明るい声で話し掛ける。
私も、ガンバッテ答える。
目の前にすごく明るい光が来た。
お母さんだ。
・・・やっと帰れる。
そのとき私の心に一筋の光が差し込んだ。
彼が手を振ってくれた。
「バイバイ」
そういいながら。
分ってる。
特別な感情がないことは。
でも初めてだったから。
うれしい。
彼と友達とお別れ。
なんか寂しいのかうれしいのかわかんないけど、
私の気持ちは、伝わらなくても。
どんなにあきらめようとしても。
私は、あきらめられないと思う。
今でもそう思ってる。
でも、いい日だったな。
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