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Requiem
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作詞 天観聖 |
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自分でも……自分でも分からずに……
その小さな手を引いていた
少女の手は冷たい寒さにも負けないくらい 暖かかった
自分の冷え切ったこの両手でさえ 汗ばむ程に
ここに居ちゃ……こんな世界に居ちゃ……
こんな醜い世界に居ちゃいけない
いつの間にか少女を連れ出していた 星を見上げる
夜空に浮かぶ君が「その子を守って」と語り掛ける
跳ね上がる土砂 振り返った先には
黒い塊を構\える黒服達
土を蹴り進む 少女と共に走り出す
自分も黒い塊を向ける 引き金を引いた
「ここで止まるわけには、いかない!」
血を噴き 崩れ落ちる黒服達
体の至る所に激痛が走る 血が滴る
振り返ると黒服達が渦を巻いていた 逃げ出した
少女だけには黒い天使を見せられない 見せたくない
少女は震えていた 寒いわけではない
そんな少女を そっと抱きしめた
「これからも、ずっと一緒に居てくれる?」
少女は震える声で訊ねる
「ああ、約束だ……ずっと一緒に居てやるからな」
少女の顔が明るくなる その笑顔が見たかった
―\―\約束だ……
笑顔見たさに吐いた嘘 心が痛んだ
滴る血が黒ずんでいる あと少ししか持たない
そんな中 少女は明るく自分の夢を語る
「私ね、大人になったらね―\―\」
耳を傾けるのがやっとだ 体中が悲鳴を上げる
その時 黒服達が怒声を上げて飛び込んできた
激痛に悲鳴を上げる体を跳ね起こし
少女の盾になるように 黒い塊を構\える
「大丈夫、俺が守るから!」
黒服達に向けて引き金を引いた 何度も引いた
次々に倒れていく黒服達 体中を激痛が駆け巡る
血が体中から噴き出した 視界が流れる
「死なないで! 私を独りにしないで!」
少女が目の前で泣き叫ぶ その声でさえ遠退いてゆく
「ごめ……んな……」
自分が何を呟いているのか よく聞き取れない
視界が紅く染まってゆく 少女の顔がよく見えない
最後にもう一度 声を出そうとした
―\―\ありがとう……
声になっていたか 分からなかった
心で少女に……夜空の君に語り掛けた
―\―\ずっと……愛しているよ……
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