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背比べ
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作詞 燈乃 |
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小さな君と小さな僕で背比べ お互い張り合った小さな発育測定
わざと背伸びして騙しあって あの頃は一番楽しかったね
憎まれ口を叩いてそれでも笑ってた 今はもうセピア色に染まったけど
僕の記憶の中では 確かにまだ呼吸をしている
時間が止まって欲しいと そればかりを祈ってた
もう少しで訪れる卒業式は 僕をただ苦しめたんだ
まだ私服のままの僕達を 夕日が明るく照らしてたけど
明るい気持ちと寂しさとの交錯が 幼い僕を襲った
教室の柱に刻んだ線は もうすっかり色褪せてるかな
ねぇ 君はまだ覚えてるかな? 僕と背中合わせたこと
僕の希望とは裏腹に季節は 僕の隣を早足で駆け抜けていった
卒業式と書かれた札は校門に ちゃんと立て掛けられてた
お互い見慣れない礼服姿を纏って 似合わないと貶しあって笑い合って
そろそろ訪れる最後を 精一杯楽しもうと心に決めた
確実に時間は過ぎていく その変化の中で僕達は
何も変わることなくお互いを 確かめるように背比べ
証書を貰いたくなくて 卒業したくなくて1人駄々を捏ねて
誰にも言うことが出来ずに階段をあがる 僕達は
下らない校長の話だって ちゃんと聞いておきたくて
必死で流れそうな涙を堪えて 最後まで笑顔で居られるように
教室の匂いも 体育館の床に張られたテープも
当然のように目にすることはなくなるんだなぁって 誰かが言ってた
3月の体育館を明るく照らす蛍光灯
皆の目には 涙が光ってた
式が終わって退場して 教室に入って辺りを見回す
柱には僕達が張り合った 1年間の小さな成長日記
君の目には涙が光ってて 遠くからでもちゃんと見えてた
「バイバイ」最後に手を振ってお別れした あの日から
やがて成長期が訪れて 見た目も声も著しく変わって
今会っても君は気付かないだろう 背比べをした相手だと
教室の柱に刻まれた鉛筆の線 君と僕の背比べ
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