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雨海
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作詞 スズナ |
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雨に溺れる人魚を見ました
淀む世界に透明な雫
小さな波紋が広がり
静かに消えていく
儚い姿
天空から零れる涙は
誰のものだろう?
空を向いたまま
動こうとはしない人魚
呼吸することを拒む
引き結ばれた口元は
白く 淡い桃色を残し
長い睫毛に溜まる雫は
宝石のように
僅かな光を放った
空へと伸ばす手は
消えかけた泡を掴むように
緩やか
地に着ける足は
水面に滑らせるように
軽い
けれど
泳ぎ方を忘れたような
虚ろな瞳は溺れたまま
縋るように
薄雲を見上げていた
雨に濡れる姿は
砂浜に眠る人魚のよう
空へと投げられる視線は
一体 何を求めているの?
霞んだ景色に
消えてしまいそうで
その白い手 掴んだ
更に激しく降り続く雨の下
残ったのは
ずぶ濡れの自分と
泡になった「人魚」
全ては幻?
立ち尽くす間に
泡も雨に掻き消されて
雨に溺れる人魚を見ました
薄雲の間から
蒼く広がる空に
深い海を思い浮かべる
雨海の人魚を
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