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積石責譜
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作詞 侑葵 |
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「御覧、紅くて綺麗な河原が有るでせう、此処が御前の出口なの」
それは片足拍子の思ひで、ゆらゆらゆらゆら落ちて往くの
くるくるふらふら らるら まわりまわらる…きりきりと
憐れみ嗤ふは綿の子犬、仲良くしませう、右眼、左手、水の底で僕等揺らいで…
「どうかそこで待つて居て、何時か貴方を白い蝶が迎へに来るから」
羽根をむしれど 空は匂はず、さらさら流れては、夕焼けるまゝ
また一つ僕に 石を渡した 母は何時までも茎を抜き続け、嗚呼。
石はまた崩れ 音を立て流れ 泥闇の底で子守歌に為る
積もる罪達の あやかしに引く糸は、僕を吊したまゝ 何時しか消へてた…。
カズナドカンジョモデキヌノニ
カイチョハシンデモヤメラレヌ
ヒョウタンヒョウロクヒョンナゲジャ
ヂゴクメグリハイマノウチ
「それが僕だ」
石に唄を刻む 何時か聴いた呟きのかけら 繰りかへし 繰りかへし 誰もここへは来ぬものを…
「ヒトツツンデハ、マタヒトツクズシ…」
石はまた崩れ、肩に羽根さへ生えぬ内に 泥闇の子守歌をまた歌つて欲しひの…
消えた罪達の そのまだら糸を繭に変え、後生の岸を飛び立ち 何時かあの海へ…
らら るら まわらるら
孵ル 間モナク 花ハ咲キ…
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