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蛍
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作詞 李姫 |
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幼き日 祖母が語った
思い出を 紡いだ話
夏の夜の 光、ほのかに
蛍舞う その彩(いろどり)を
遠い昔には有ったよと
目を細めて笑った
ひとつひとつ 指差し数え
(せせらぎにそった細いあぜ道)
ほおずき型組む手のひらに
そっと閉じ込めたは源氏
いつかのこの地が覚えて(い)る
(団扇で追った小さな光)
新月の夜に星になる
あの蛍は今、何処に?
時は過ぎ 時代は変わり
私はいつか 大人になった
明るすぎる 都会の中で
土すら踏まず 空すら見ない
遠い昔に聞いた話
彼方に置き去りにして
ひとつひとつ 指折り数え
(窓から見えるは冷めた街並み)
重ねた年月 戻らぬ日々
心を亡くした 私
いつかのこの身に刻んでる
(夢を描いた幼い頃)
明るすぎる都会の夜に
星は霞んで 見えない…
変わらぬものがある、変わっていくものもある
命は消え行き 思想は立ち代り
はらり、はらり、はらり、はらり、人も変える
歩んできた道振り返り
「蛍に会いたいよ」と…
故郷(くに)の土をそっと踏みしめ
(少なく残った稲田沿いを)
夏風受けて 歩んでいく
新月の夜は 闇夜
ひとつひとつ 指差し数え
(せせらぎにそった細いあぜ道)
ほおずき型組む手のひらに
そっと閉じ込めたい源氏
ひとつだけ 躍る光に
あわよくば 手を差し伸べる
闇深くに 消えた姿は
幾年(いくとせ)に 夢見た『蛍』…
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