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ADAM
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最終投稿日  2009.06.01
自信作/最新作
荊姫
作詞  ADAM

てくてく歩こう ゆらゆら歩もう
彼の地に行こうか 赴こう
彼女の【楽園】 探しにいこう
彼女の【故郷】は滅びたけれど

楽園⇒故郷=あるはずもない

ひとりの少女の物語


とある大国 富と力にあふれたその国は とある帝国に堕とされた
家が燃える 燃える
人が消える 消える
王都の炎上 混乱は避けられない

王は一人の従者に こういった
《妃と娘を 頼んだ》

従者は妃の手をとり 港へと走った
逃亡のための船 船員たちが待つ中 彼らは走った
妃は従者と逃げる その腕に 小さな命を抱えて
妃の腕には“希望”と呼ばれる 幼き姫
言葉も知らぬ 赤子の姫 しかしその瞳は 不安の色

妃は感じる 姫の言葉を   『お父様は?』

妃は言った 笑顔で答えた
『お父様は 貴女の為に遠いお国へ行きました』
涙で頬を はららと染めながら
『大丈夫 私は貴女の傍に』

ひとりの妃と ひとりの姫を乗せ
小さな船は 港をあとにした
燃え盛る王都を背に 燃え盛る城を背に


てくてく歩こう ゆらゆら歩もう
彼の地に行こうか 赴こう
彼女の【楽園】 どこにある
彼女の【故郷】はもうないけれど

楽園⇒故郷=あったのだろうか?

ひとりの少女の 荊の道


遠い国の港町
彼らは降り立ち 姿を潜めた
妃の身なりは ひとりの田舎女 姫の身なりは その娘
二人は身を寄せ 慎ましく暮らした
共に逃げた王の従者 妃を愛し夫婦(めおと)となった
幼き姫はすくすく育ち 妃を呼ぶ 従者を呼ぶ

『お母さん お父さん』

幼き姫は 何も知らない
母⇒妃=一国の王の妻
父⇒従者=真(まこと)の父に仕える男

幼き姫はそれでも育ち 美しく 聡明な少女となった
母によく似た美しい肌 金色(こんじき)の髪
父によく似た蒼き瞳 勇敢な心

村の娘=一国の美しき姫

しかし誰も気づかない
母と父の 大きな秘め事 彼女自身も知らない大いなる秘密

村人は気づかない ゆえに 平和
誰も気づかない ゆえに 幸せだった

ただ残るのは その不思議な 気品だけ


てくてく歩こう ゆらゆら歩もう
彼の地に行こうか 赴こう
彼女の【楽園】 ここなのだろうか
彼女の【故郷】はこの地なのかな

楽園⇒故郷=終焉の里


ある日の出来事
悲劇は唐突に舞い降り 彼女たちの幸せを奪った
少女の家に恐ろしい役人 幾人もの兵隊
父を連れ去り 残されたのは 彼女と母親

『お父さんは?』

知らされなかった ひとつの事実

役人の口から 大きな秘め事

母は娘の耳を塞ぐ 兵隊はその手を押さえる

知らなかった―――/―――知らなかった?

ただ忘れていただけ あの日の記憶
姫が姫でなく 少女となったその日の記憶

燃え盛る炎 焼け落ちる家 炎上する王都
泣き叫ぶ住人 怒号の軍隊
少女の母親=母国の妃
椀中には少女=彼女自身
城に戻る男=本当の父
母を導く者=今の父親

母と少女は連れ去られ 馬車に押し込められた
役人は 悲痛な笑みでこう笑う

『我らが帝国に 美しい妃を迎えよう』



【続】

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すみません、続きができてませんでした・・・。 続きをそのうちあげたいと思います。 どうぞ、駄目だしなりなんなりと批評をお願いします。