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アイレス
作詞 ニコル
どしゃ降りの雨に急に打たれて 顔をしかめた
そこを通りかかったバスに 慌てて乗り込んだ
人にまみれた車内を見ると 舌打ちをした
泥を頭から被ったような 感触を覚えた

バスは何も言わずに 乱暴に僕を運ぶ
人が人とぶつかる 睨んだり睨まれたり
嫌になって隅に逃げた

近くの席に座ってた人が ベルを鳴らした
途端に周りの大人たちが こっちを見つめた
重い腰を持ち上げた人は 僕に微笑んだ
「さあどうぞ」と空席を指して 僕に譲った

軽く頭を下げて その好意に甘えて
自慢げに席に座る 舌打ちが聞こえる
僕は寝ることにした

そんなに睨むなよ 仕方がないだろう
この席は僕のものだ そんな風に無視して眠った


大きな揺れを感じて起きて 顔を上げると
僕の何倍も生きた人が 辛そうに立ってた
見て見ぬフリが通じるのか 確かめてみた
幸い誰とも目が合わずに 窓の外を見た

窓ガラスに映った人が こっちを見ていた
気づいてないフリを貫いて 雨粒を数えた
それでも居た堪れなくなって 腰を持ち上げた
「さあどうぞ」と苦笑いで 席を譲った

「ありがとう」と笑って言って 嬉しそうに座って
悪い気はしないけど 老若男女を問わず
周りの人が睨んでた

そんなに睨むなよ 誰でもいいだろう
この席はお前のものじゃない 僕も睨み返した


見慣れた町に着いて 人混みを押し退けて
バスを降りて走った 我が家に飛び込んだ
僕は寝れなかった


汚れた身体を 洗い流そうと
びしょ濡れの服を脱いで 鏡を見つめた

まだ僕は顔をしかめていた

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公開日 2015/07/03
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コメント 雨が苛つきます。ので、ちょっと頭に浮かんだ唄を、そのまま書いてみました。98パーセントのフィクションですので、現実世界についての批評などは、今回はテーマとしていません。まあ、久しぶりの外伝ですね。ここのところご無沙汰だったので。
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